狩人話譚

□ ボクとワカ旦那さん[他] □

ボクとワカ旦那さん おまけ集

pixivに投稿していた際、[2]以降の話のほとんどに付け加えていたおまけ話集です。
会話文のみで、裏話に近い内容ばかりですのでネタバレにご注意下さい。数が多いので追記へ。




目次
ボクとワカ旦那さん[2]
ボクと操虫棍使いさん
ボクと双剣使いさん
ボクと剣斧使いさん
ボクと太刀使いさん1
ボクと太刀使いさん2
ボクとワカ旦那さん[3]
ボクと義姉兄さん
ボクとオトモアイルーたち
ボクと軽弩使いさん
ボクとユクモ村1
ボクとユクモ村2
ボクと狩人
ボクとワカ旦那さん[4]
ボクと兄弟たち
ボクととある友達
ボクとお肉
ボクと悪い人

ボクと操虫棍使いさん『氷海の再会を促した策士』

「お疲れさま、エイドちゃん」
「あ、ミサさん……」
「ギルドマスターから聞いたわ。調合で麻酔用道具をこしらえたって。ネムリ草は原生林には生えていないものだったけど、よく見つけたわね」
「あれはモーナコちゃんがアイルーの巣から見つけたんです。前にワカにいちゃんも調合を試みたみたいで。……あの、ミサさん。ワカにいちゃんは」
「ええ、元気よ。この間一緒にグラビモス亜種を狩ったわ」
「グラビモスの亜種を……。元気なら良かったです」
「そうね。でも前と動きがだいぶ違っていたわ」
「えっ?」
「前はグラビモスのお腹に潜り込むなんてこと、しなかったもの。以前のあの子なら近寄らないで防御の旋律を奏でていたはずなのに、攻めることも覚えたみたいね」
「…………。」
「この間、集会所でメラルーのオトモアイルーをぼーっとみていたわ。うっすらと記憶が残っているようなの。それだけじゃない、操虫棍を背負った女の子や、スラッシュアックスを担いだ男のハンターにも目線を送ってる。その機会が増えてきたということは、徐々に思い出せるかもしれないわ」
「そう……なんです、か」
「きっと、そうよ。だからお願いがあるの、エイドちゃん」
「ア、アタシにできることなら!アタシもモーナコちゃんに元気になってほしいし!」
「ありがとう。明日私たちは氷海にあるモンスターを狩りに出るわ。同日にギルドストアは半額セールをやる予定らしいの。だから、……」

(これは私達の『賭け』よ。モーナコ君ならきっと荷車に飛び乗ってくると信じてる。戦いの場にも顔を出してしまうことも。それでも、狩りの最中に大切な相棒の顔を見れば何か変化が起きるはず。私はモーナコ君と、ジンの……【ワカ】の絆を信じるわ)
(モーナコちゃんと、ワカにいちゃんの絆……)

「モーナコちゃん、あんね、お願いがあるんやけど……」
「何ですニャ?エイドさん」

(どうか、この賭けが成功しますように。アタシも二人の絆を信じます)

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ボクと双剣使いさん『うっかりな性格も兄から受け継がれたと思った』

「よお! 調子はどうだ? おっ、ベリオロスの防具をつくったのか、回避性能が上がるからガードができない狩猟笛にはいいかもな。それで、最近練習しているライトボウガンの扱いは上手くなっているか? ミサ姉ちゃんも元気にしていたか? お前にライトボウガンを教えてくれる人ってすごい綺麗な姉ちゃん達らしいな。双子の【ロロ】ちゃんと【モモ】ちゃんだっけ? ギルドカードがあるなら顔見せてくれよ、あと機会があればオレのギルドカードと交換を、って冗談だよ。……ん? お前、日焼けしたのか?雪が降る地域出身の割にはお前そんなに色白でもないよな、まあ男のお前が色白でも得はしないかもしれねえけど。というかさっきから何も喋ってないけど大丈夫か? 具合が悪いのか? ……ってよく見たらお前目の色また変わってないか!? なんで金色が青色になるんだよそれはおかしいぞ! 明らかに病気だ! すぐにリウのところへ行って診てもらってこい! そろそろ依頼の出発時間だから行くけどさ、絶対に無理はするんじゃねえぞ。グループは解散したけれど、お前はオレ達にとって大事な家族なのはずっと変わらないんだからな! うわああぁやべえ遅刻する! じゃあな!!」
「……?」


「……ってことがまえにあった」
「ワカ旦那さん、その人って」
「ごめんなトラ、俺の兄だ。フェイ兄、俺とトラを間違えるなんて……。後で会ったら回復薬グレートにトウガラシ調合してプレゼントしてやろう」
「やり口が地味だけどえげつないねえ、ワカ君」
(フェイさん、最後にいいこと言っていたのに……ご愁傷様ですニャ)

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ボクと剣斧使いさん『もう一方の説得』

「ワカ、やめて」
「どうして止めるんだトラ、お前も心配だっただろう? おっちゃんがウイルスに侵されて倒れてしまったとき」
「……しんぱい、だった。でも」
「でも?」
「ハビエルもたおれてるワカ見たとき、すごく悲しそうだった」
「?」
「ハビエル、言ってた。もしこどもが生きてたら、おれぐらいだって」
「…………。」
「子ども、二人、男の子。だから、おれとワカ、兄弟みたいだっていつも言ってた」
「!?」
「子どもたちとおくさん、守れなかった。ずっと、悲しんでた。ワカがムチャしてたおれていたのを見て、ハビエル辛そうだった」
「…………。」
「ワカ、ハビエルをおこらないで」
「……周りが見えていなかったのは俺の方だったか」
「ワカ?」
「ありがとな、トラ。おかげで頭を冷やせた」
「うん」
「おっちゃんに謝らないとな」
「仲なおりだな」
「ああ」

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ボクと太刀使いさん1『モーナコから見た2人のハンターの力関係』

「モーナコちゃん!」
「エイドさん、こんにちはですニャ」
「久しぶりやね。買い出しに来てたん」
「そうですニャ、エイドさんも?」
「うん。ワカにいちゃんは元気してるん?」
「もちろんですニャ、この間はゲネル・セルタスを討伐してましたニャ」
「そうなん。最近一緒に狩りに行ってなくて寂しいんよ。いつまた会えるん?」
「ニャ、その……」
「わかっとるよ、最近女の子のハンターとよく狩りに出てるって。しかも凄腕の」
「その通りですニャ。あまりにもズバズバと狩ってしまうのでワカ旦那さんがアルセルタスに見えてきますニャ」
「アルセルタスって……その女の子、ゲネル・セルタスみたいにごっついん?」
「逆ですニャ、小柄な人ですニャ。でも実力関係はそんな感じに見えますニャ」
「ワカにいちゃんはサポートが得意やからね。へー、あんな感じなんね……ふふっ」


「なあナコ、最近集会所の受付の子が俺を『ゲネル・セルタスに付き添ってるアルセルタス』って噂してるんだけど……一体何なんだろうなあ」
(……あれ、なんだかどんどん広まってしまっていますニャ)

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ボクと太刀使いさん2『少女が青年に宛てた手紙、そして……』

『ワカへ
 この数週間は凄く目まぐるしくて、私にとってとても大切な時間だったと今になって痛感できる。貴方に出会えて私は幸せです。私に仲間や絆の大切さ、そして疑わずに一緒にミラボレアスを討伐してくれて本当にありがとう。言葉じゃ言い表せない位感謝してる。

 未練は無いってあの時に言ったけど、本当は怖かった。ワカと離れ離れになるのが凄く怖かった。もうひとりぼっちはイヤって思っちゃったわ。最初は何でワカが私の為にここまでやってくれるのか不思議だった。でも、ワカと一緒にいて貴方が仲間の為に自分を犠牲にして必死になる姿に私は自分の中の世界がどれだけ小さかったか知ることが出来た。貴方のおかげで私は私の中の心の闇から解放できた、貴方は私にとっての光に見えたのかもしれない……。

 それとナコ君の事、足手まといって言ってごめんなさい、私もナコ君みたいな素敵なオトモアイルーに出会いたいって本当はどこかで思ってしまったわ。本当は一言お別れを言いたかったんだけど、ちょっと恥ずかしいから手紙に書き残すわ……。貴方に出会って私のこの3年間は無意味じゃないって初めて感じたわ。ワカに会えて本当に良かったと思う。

 今はちょっと離れてるけど、私がバルバレに戻ってきたら今度はワカやワカのお友達と一緒に狩りに行きたいわ……。私がオトモアイルーを連れてきたらナコ君や皆に紹介するから皆で狩りに行ったり、ご飯食べたりしたいって心から思えるようになったのもワカのおかげよ……。本当に本当にありがとう。

 足の調子は大丈夫?ナコ君から火傷に効く薬を聞いて今あるだけの素材で調合したから必ず飲んで早く元気になってね……。

 グリフィスより』

「それでいいのかい?」
「いいわ……」
「今回は僕の独断行動だ、上からのお咎めを食らうのは僕だけだろうけど、君にはしっかりと事情を説明してもらうよ」

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ボクと義姉兄さん『松葉杖を作っていた頃のテント内』

「腰の具合はどう?」
「すごく利いてるよ、気持ちいい」
「それなら良かったわ、ねえリウ」
「ああ」
「……ジン、一つ聞いていいかしら」
「ん、何?」
「朝に聞いたアグナコトルの話、本当?」
「なっ、なんでそんなことを聞くの?」
「だってジンは暑い所が苦手じゃない。地底火山だってよほどのことが無い限り行かないわ。なのにたまたま出会ったハンターのためだけにわざわざ遠方の火山に向かったのかしら、って」
「ミサ姉、俺が嘘をついていると思っているの……?」
「それじゃあ、どうして同行したのかしら」
「……心配だったんだ、ハンターの子が。独りで、がむしゃらに走って、そのままいなくなってしまいそうで」
「出会って少しの時間を共に過ごしただけのハンターに? もしかして……その子に惚れちゃったとか?」
「……そうじゃないけど」
「ふーん。顔色に変化は無い、どうやらそっち方面じゃないみたいね。残念だわ、ジンからそういう話は滅多に聞かないから期待したのに」
「ミサ姉、からかわないでよ」
「ミサ姉さん、その辺にしてやってくれ。ここまでひた隠しにするんだ、俺たちが触れていい案件ではないのだろう」
「そうね。ごめんねジン、今のは忘れて」
「忘れて、って……」
(思い出してしまったじゃないか……俺が、あの日まで気にかけていた人がいたことを)

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ボクとオトモアイルーたち『オトモたちが旦那さんを斬る』

「旦那さんと長くやっていくコツは長所も短所も受け入れることニャ」
「テッカのご主人様にもダメなところがあるニャ?」
「ハビエルは元お肉屋さんニャ。だから料理に何でもお肉を入れたがるニャ。野菜や魚の料理もつくれるけど、さりげなくお肉が入っているニャ。どれも美味しいニャ、でもたまには丸焼きの魚に思い切りかぶりつきたいニャ」
「ハビエルは肉食系男子ニャ……!」
「エール、ハンターは基本的にお肉大好きですニャ。カワセミ、トラフズクさんは何かありますニャ?」
「ちび旦那は寝相が悪いのが欠点ニャ。枕と間違えてボクを抱きしめようとしたことがあったニャ」
「前に聞いたカワセミの悲鳴はそれだったニャ?エール、エイドさんはどうニャ」
「エイドはセンスが微妙ニャ。セルタスネコやファンゴネコの防具が可愛いからつくってあげたいと言っているけどボクの趣味じゃないニャ……というかいつも女の子らしさの欠片の無いものばかり選ぶニャ」
「それは予想外ですニャ」
「モーナコ、ワカはどこがダメニャ?」
「ワカ旦那さんは虫がダメですニャ。大型モンスターは狩らなくちゃって気持ちが上回るから平気だけど、原生林で採取をしていたらオルタロスが狩猟笛にくっ付いていることに気が付いて笛をハンマーみたいに回転させてましたニャ」
「狩猟笛も回転攻撃ができるのニャ、凄いニャ」
「パニック状態になったからできた芸当でしたニャ、その後スタミナを消耗しきってヘロヘロになってましたニャ」
「今のところワカが一番ダメダメニャ」
「ニャー! カワセミ、順序を付けないでくださいニャ!!」

(その頃:遺跡平原)

「……くしゅん!」
「へっくし」
「はっくしゅんっ」
「ぶぁっくしょ! ……なんだろう、全員同時にくしゃみが出るなんて不思議だね」
「なんやろねー。オトモたちがアタシらの噂してたとか?」
「うわさ?」
(リエン……話の輪に入れているのかな)

(その頃:チコ村)

「はっくしょん!」
「ワカちゃん、風邪ひいたのかしらァ?」
「いや、この村の気候に限ってそんなことは」
「きっとモーナコが噂してたニャ」
「一回ならいい噂ニャ。二回目だと悪い噂をしているニャ」
「え……ふあっ、……」
「ニャー! ニ回目が出ちゃうニャ!阻止するニャ!」
「何か、ちが……っくしょん!」
「あー、出ちゃったニャ」
「悪口言ってるニャ」
「……そうなのかなあ?」

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ボクと軽弩使いさん『17年前の青年を知るギルドナイト』

「急げ、あの狼煙は緊急事態時にしか使われないものだからな。きっと村が襲撃されているに違いない」
「隊長。どうしてあんな辺鄙な所に村があるんですか? 専属ハンターもいないし、もっとギルドに近い麓に住んだ方がいいのに」
「口を慎め、新入り。我々も理由はわからん、上層部なら知っているのかもしれないがあまり触れてはならないものらしい」
「……失礼しました」

「これは……なんて、惨い……」
「モンスターはどこに?」
「気配は無いな、暴れるだけ暴れて去った後か……この惨状では生存者は絶望的だな。村人の数は全員で二十ニ人、生存者がいるか確認しつつ人数を把握しろ。いつでも抜刀できるよう気を抜くんじゃないぞ」
「了解しました」

(鋭い爪に雷……該当するのは【雷狼竜】? いや、あれがこんな極寒の地に住めるはずが……それにこの赤黒い雷の跡。別のモンスターの可能性が強い。雷狼竜の近縁種か?)
「……ん?」
(あの子ども、怪我が見当たらないな。全身灰だらけだけど、出血はしていない。もしかして)
「……お、とぅ、……かぁ……」
「!! おい、しっかりするんだ!隊長、隊長! 生存者がいました、子どもです!」
「なんだって! この寒さの中防寒着も着ずによく生きていたな、だがすぐに温めてやらなくては凍え死んでしまう。我々はここの調査を続ける。お前はこの子を連れてポッケ村に戻れ、【ヨハン】」

(ヨハンが介抱した少年が一人、別の者が森の中で発見した少女が一人。生存者はあの子どもたちだけか……可哀想に、ニ人とも孤児院行きだろうな)
(隊長、少女が雪を見てパニックを起こしたようです。ポッケ村で治療を続けるのは厳しいでしょう。どうしましょうか)
(少女をユクモ村へ搬送しろ。治療後そちらの孤児院に保護してもらう。少年はここに残す。顔を合わせてもパニックを起こすおそれがあるからな)

「(なんだか騒がしいな。)あっ、隊長。どうされたのですか」
「ヨハンか。新入りのお前が知る必要は無い。託された任務を行うだけでいい」
「……は、はぁ」
(とてもじゃないけど腑に落ちない。モンスターも、村のことも。いつか僕自身の手で調べてやる)

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ボクとユクモ村1『2人の義兄の会話』

「ジンのやつ、今頃ロロちゃんとモモちゃんのところにいるんだろうな」
「また女性の話か。フェイ兄さんはその話題が尽きないな」
「だってよお、気が付けばあいつの周りって女の子が多いじゃねえか。オレもダチは多いけど女の子に『あなたとは友達が一番いい』なんて言われちまってさ……はああああああ女の子と付き合いてぇ! ……あ、リウこそどうなんだよ。ナグリ村は土竜族のおっさんばっかりで女の子と触れ合う機会すら無いんじゃないのか?」
「いや、そうでもない」
「はぁ?」
「俺と同じように外からやって来た女性がいる。鍛冶の修行に来たそうだ」
「えっ……もしかしてお知り合いのお友達のカノジョの……?」
「いずれは娶るつもりでいる。……どうした、フェイ兄さん。ずっと下を向いて、具合が悪いのか?」
「ちっっっっっくしょう!! リウの裏切り者ぉぉぉ!」
「裏切るも何も恋愛は自由だろう。ちなみにミサ姉さんもキャラバンの団長と秒読み段階だそうだ。手紙で思いっきりのろけられたな……フェイ兄さん、どこへ行く!?」
「酒場! 酒飲んでくる!!」
「飲みすぎには注意してくれよ。……はあ、フェイ兄さんももう少し落ち着いてくれればな」

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ボクとユクモ村2『お土産を渡しに行きました』

「ロロさん、モモさん。お土産買って来たよ」
「わぁ~っ! ありがとう、ワカ!」
「あっユクモ温泉たまご! アタシたちこれ大好きなんだー」
「そっか、それは良かった」
「みんなに見つからないようにこっそり食べるね」
「それで、温泉はどうだった? ゆっくりできた?」
「おかげさまですごく調子が良いよ。仲間のハンターたちも喜んでくれた」
「うんうん、でしょ? アタシたちもすっかり気に入って毎年行ってたらあのチケットをもらったから。ワカの役に立ったんなら、アタシたちも嬉しいな」
「ジン、おかえり」
「ミサ姉、ただいま。ミサ姉にもお土産」
「ありがとう、リウはナグリ村に戻ったけどどうするつもり?」
「自分の足で届けに行くよ。リウ兄の婚約者にも挨拶をしたいし」
「そう。あ、あとフェイの所に行ったら慰めてあげてね」
「……?」

「なあジン、お前はオレより先に相手を見つけたりしないよな……?」
「フェイ兄……お酒臭いんだけど……」
「ちくしょうリウの奴、兄のオレより先にいい相手を見つけやがって、ぐすっ」
(こうやって拗ねちゃう辺りがリウ兄よりも幼く見えるんだよなあ、フェイ兄は)
「おい、今オレがガキっぽいなとか思ったろ」
「!?」
「へへっ、バーカ何年お前の兄貴やってると思ってるんだ。嘘をつく癖までお見通しなんだよ、オレらは」
「……今は恋人とか、そんなことを考えてる余裕が無いんだ。それに、フェイ兄にもきっといい相手が見つかると思う」
「へっ、そうやって取り繕おうとするところがリウそっくりなんだよ」
「早合点したりドジ踏んだりするところはフェイ兄から譲ってもらったかな」
「なんだとぉ!? 言ってくれたなジン!」
「あ、そろそろテントに戻らないとナコが心配するから行かなくちゃ」
「ちょ、おいっ待て……どわぁ!?」
「あーあ、千鳥足で無茶するから……とりあえず放っておいても大丈夫かな。ちゃんとぶつけたところを冷やしておいてよ」

「……気遣いを忘れないところはミサ姉ちゃん譲りだな、あいつ」

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ボクと狩人『依頼を終えたハンターとギルドマスターの会話』

「ほっほほ、お疲れさま。残念だったね」
「面目ないです、ギルドマスター」
「キミの観察眼の精度は高いといっても失敗することだってある。今回は運が悪かったと我々は思っているよ」
「…………。」
「ところで、キミはナバケ村という所の生まれだったね」
「……はい」
「先日のことがあったから、村について調べさせてもらったよ。まさかドンドルマギルド管轄の辺境の村だったとは驚いたね。わかったのは村の大まかな位置や十七年前にモンスターの襲撃で滅びたことぐらいだったけど随分と遠くからやって来たんだね、キミは」
「そうですか、そこまで調べていたんですね……。話というのは、俺からハンターの資格を剥奪するということですか?」
「ん? 何を言っているのかい?」
「ナバケ村は密猟者とギルドナイトがつくった村です。だから俺は……密猟者の子孫なんです。ギルドからすれば取り逃がして監視を続けていた密猟者の末裔が再びハンター稼業に戻ってきた。ナバケ村のことを知っているのはドンドルマギルドだけ……。ギルドマスターが送った遣いもドンドルマに向かったんですよね」
「うん、そうだね。あっちのギルドにとってよほど都合が悪いことなのか探すのに苦労したよ。こちらも伝手があった遣いを出したから根気よく調べてくれたけどね」
「……申し訳ありません。記憶を失っていた時期に再登録したとはいえ、ずっと隠していて」
「既に滅びた故郷のことをギルドに通告する義務なんて無いから安心しなよ。密猟者の血を引いたハンターと知ったところで、私たちはキミを追放するようなことはしない。ドンドルマギルドにとっては忌々しい因縁の末裔かもしれないけれど、私たちにとっては伝説の黒龍を討伐したハンターの一人だ。
 それに、そもそもキミがハンターになってから何も起こっていないのだからドンドルマギルドもキミをどうこうしようという気は無いと思うよ。もしキミから無理やりハンターの資格を剥奪するというのならば、それは彼らの汚点を自ら曝け出すことに繋がるからね」
「そう言われれば……そうですね」
「話が長くなったね。本題に入るんだけど、キミの力を見込んで“ある道”を提案したいのだよ。キミがもし目指してくれるのなら、きっとキミのためにも私たちのためにもなる」
「一体、それは……?」
「ほっほほ。キミならきっとなれるはずだと私は思うよ。もちろん道は険しいけれどもね」

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ボクと兄弟たち『加工屋を目指したときのハンター2人』

「だいぶ暗くなってきたな、でもまだ加工屋は開いてるはず」
「うん。……ねえ、ワカにいちゃん」
「!? エドちゃん、何を」
「手ぇ繋ぐくらいええやん」
「……。」
「ごめん、嫌やった……?」
「いいや、全然。暗いし気をつけないとな」

(ワカにいちゃんは今もきっとヒナさんが好きなんやと思う……。でも、これぐらいは許してくれへんかな)
(ミサ姉に言われたことを思い出すな。ヒナと手を握るなんて、村にいた頃あったかどうか……。せめてエドちゃんだけは守りたい。二度と大切な人を失いたくないんだ)

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ボクととある友達『後日、同エリアで再会したハンターとリオレウス』

 わざわざ会いに来たのか? 俺は市のような優しい人間じゃないぞ。それにお前に親しく触れる方法がわからないんだ。……撫でるだけでいいのか? 頭は嫌がらないんだな。

 どうか狂竜化なんて末路を辿らないでほしい。お前自身も苦しむし、市に悲しい思いをさせたくないだろう? 俺、狂竜化したあのジンオウガの悲しそうな目が忘れられないんだ。本当は自分の意思が残っていたんじゃないかって、死にたくないという気持ちがあったのを無視して俺のエゴで命を奪ったんじゃないかって……。

 今日は兄弟と狩りに来ているんだ。だから、すぐに巣に戻れ。それにもう……俺に会いに来ては駄目だ。ごめんな、きっと俺にはモンスターと心を通わせる資格が無いんだ。子どものイャンガルルガを勝手な考えで手にかけようとした時点で密猟者の血に逆らえないことを自覚してしまったんだ。許しを請うように何度か子どものモンスターを助けたけれど、無駄だった。だからもう俺に関わってほしくない。何かが起こりそうで怖いんだ。

 わっ!? ……餞別のつもりか?はは、ありがとう。リオレウスに頬を舐められるなんて滅多に体験できないだろうな。さよなら、ちび助。元気でな。



「どうしたの、ジン?」
「なんでもないよ。ガブラスがいたから追い払っていただけ」
「そう……こっちにはいなかったようね。フェイとリウも手分けして捜しているわ、ジンも来て」
「うん。……あのさ、ミサ姉」
「なに?」
「今晩、相談に乗ってほしいんだ。もちろんフェイ兄も、リウ兄にも聞いて欲しい」
「……わかったわ」

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ボクとお肉『英雄がすぐ傍にいた事実』

「そういえば、雑貨屋をやってるおばちゃんはモガ村出身って聞いたことがあるな。買い物ついでにちょっと聞いてみようか」
「わかりましたニャ」

「……という話を聞きました。モガ村って特殊な流通ルートがあるんですか?」
「ああ、あるよ! でもどうしてアンタが知っているんだい?」
「アノエラさんから聞いて……」
「あらあら! アンタ、アノちゃんと知り合い?」
「アノちゃん……? 狩りに同行したことは無いですが、知り合いなんです」
「そうかい! あの子のことはモガ村にいる姉から手紙で知ったんだよ。村のことも大事にしてくれているんだねえ」
「アノエラさんはモガ村が故郷って聞きましたけど」
「故郷と思ってくれているのかい。あの子は別の地域から来た子だよ。でも長い間モガ村の専属ハンターとして尽くしてくれた。いわば【英雄】ってところさ」
「英雄……」
「かなりの大物も仕留めたし、何度も村の危機を救ってくれたそうじゃない。モガ村の歴史に残るハンターだよ、アノちゃんは」
「専属ハンターなのに、どうしてここに?」
「世界をもっと見て回りたいからと後任のハンターに村の守備を任せて村を離れたんだよ。それでこっちに来たんだったかね。あまり表立って言わない謙虚な子だから、アタシが言ったことは内緒だよ」
「は、はあ」

「知らなかった……アノエラさんって、実はG級ハンターじゃないかな」
「グリフィスさんもポッケ村の専属ハンターだったって言ってましたニャ。近くに村の専属ハンターが2人もいるなんてビックリですニャ」
「ああ、フィスちゃんもポッケ村を救った英雄だな。もしかしてどこかにアマツマガツチを討伐したユクモ村の専属ハンターもいたりして」
「会えたらいいですニャ」
「バルバレにいるかはわからないけどな」

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ボクと悪い人『ある道を決めたハンター』

「そっか……しばらくワカにいちゃんと狩りはできないんね」
「しかもテントも撤去してしまうのか。遠くに行ってしまうみたいで寂しいよ」
「おれも」
「テントは無くなるけど、ギルド近辺に移動するだけだからバルバレを去るわけじゃないよ」
「だけど一番寂しがるのはモーナコだろうね。ワカ君を慕ってオトモアイルーになったんだから」
「そうやね。どうするん? またアタシが預かってもええの?」
「エドちゃんには前にも世話になったし、すぐ傍にいると思うと俺の決心が揺らいでしまうからチコ村に行くように話すつもりだよ。正直そのまま……ってことも覚悟してる」
「グリフィスちゃんに挨拶はできそうかい? 今回は一緒に行けなかったけれど、グリフィスちゃんも忙しいから会えるかどうか」
「フィスちゃんのテントに手紙を入れておくつもりだよ。……前にもこんなことがあったな、今回は逆の立場になったけど」
「ワカにいちゃん、必ず戻ってきてくれるんやね?」
「もちろん、そのつもりだよエドちゃん。そのときは一緒に……」
「い、一緒に……?」
「……一緒に、スープの作り方を教えてほしいんだ」
「あ……あ、ああっ、そういう話なんね! もちろんええよ。アタシの故郷の料理を教えるから!」
「ありがとう、エドちゃん。そのときはよろしく頼むよ」
「うん!」
「ハビエル、どうした? がっかりしてる」
「……いいや、なんでもないよトラ君」

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